地震や水害が発生し住宅が全半壊してしまうと 私たちは地域の災害避難所での生活を余儀なくされます。災害復興住宅に入居できるまでその期間は最短でも2ヶ月弱は続きます。
首都直下型地震の発生時には1年後でも数十万世帯が避難所生活を続けざるを得ないという最近の予測も出ています。
体育館などの床に雑魚寝をしながら余震に怯える生活が長引くと被災のショックの上に精神的な疲労が蓄積されます。 肉体的にも二次的な健康被害が多く発症してきます。プライバシーを確保するため自家用車内で暮らしていた人々がエコノミー症候群にかかることもその一つです。
「ささやか安心空間」の開発は避難所での劣悪な生活の質を少しでも改善したいという願いから出発しました。
スギの合板を材料にしたブロック「つみっく」を3人のボランティアで組み立てると12人分の簡易型寝室(カプセルホテル)が2時間足らずで完成します。 小さなパーティションごとにベッドパネルを持ち 上下に被災者を収容できる空間です。
「ささやか安心空間」は自治体の予算がなくとも(財)自治総合センターのコミュニティー助成事業などに応募し採択されると導入できます。
隣室とを隔てる壁面は100mmの厚さがあり、とても丈夫な構造です。避難所の空間を立体的に利用することで被災者を雑魚寝から解放します。 被災者のプライバシーを大切にして余震の中でも安心して過ごせるささやかな空間ができあがりました。
材料がおおきなレゴブロックなので避難所の現場用途に応じていろいろな姿に変身できます。
例えば四方にブロック5段の壁を組みドアを設けると 高さ2.4m広さ16㎡のブースが出現します。 ブロック2段を脚部としてベッドパネルを載せれば即席の治療ベッドになり避難所内に臨時診察室がオープンします。
激甚な災害は日本全体からみるとピンポイントで発生します。
すぐ役立つ防災ツールが全国にひろく、うすく備蓄されることは危機管理の基本です。
復興住宅が完成し避難所生活にピリオドが打たれると「ささやか安心空間」は分解され再び各地のボランティアセンターやコミュニティセンター、教育機関に戻り備蓄されます。
このように分解組立てができるので 災害が発生する度に何度でも繰り返し使えます。 ブロックが壊れたり腐ったりしない限りずっと使えるエコグッズです。
日本中に100セットの「ささやか安心空間」が分散備蓄されていれば、震災後1週間以内に1200名分の簡易型寝室が被災地に届くことも夢ではありません。
現在、「備蓄」 → 「ささやか安心空間」 → 「仮設住宅」 → 「復興住宅」 → 「備蓄補充」という [つみっく危機管理サイクル]の実現にむけハード・ソフト両面の問題点の洗い出しとその解決策を研究中です。
被災地と周辺の地域、および少し離れた地域とを結ぶ相互扶助のシステムがあれば被災住民の2次的な被害はより小さくて済みます。復興に向けての気力と体力とを温存することが大切です。
私たちの体は傷を負うと一番近い血管・組織から白血球や血小板が傷に集結します。感染を防ぎ被害が拡大するのを止め、体が傷を修復してゆくための援助をします。分散備蓄された「ささやか安心空間」のシステムは日本列島の免疫系です。
つみっくによる「ささやか安心空間」は今までの防災グッズとは違うところがあります。
大半の防災グッズが日常時は災害に備え倉庫にただ保管されている中でこのブロック達は備蓄されている場所それぞれで形を変え活躍ができるという特色があります。
学校で備蓄されるときには特別支援教育の現場で教室構造化のツールとして活用できます。
ボランティアセンターに備蓄されるときには録音用防音ブースを作ります。このブースは視覚障害者のために日々朗読ボランティアをする人々の録音スペースとして備蓄しながら利用されます。「ささやか安心空間」が現場のニーズに合わせて姿を変え利用されることを開発スタッフは願っています。
ご相談いただければ用途に合わせたブロック組換え設計をいたします。
コスト・パーフォーマンスを高めることが利用者とブロック達の幸せにつながります。